先日、"8番出口"を観ました。
セラピストになってから、
映画館に行くことがなかったので、
とても良い機会になりました。

この映画は、見て見ぬふりをする社会、
情報に飲まれてデバイスに
気を取られている大人たち、
同じ毎日に慣れて純粋さを
失っていく僕らへの
問いかけのように感じました。

迷子の子供は、最後のほうで、
顔の傷が薄くなっていましたね。
あなたは、それに気付きましたか？

人の弱さや痛みは、
“気づこうとする人” の前にしか現れない、
という印であると僕は感じました。

無関心な世界では、
痛みは最初から「なかったこと」になる。
気づく人がそばにいるかどうかで、
同じ世界が全く違う景色になる。

大人になるにつれて、
同じ道を行ったり来たりしながら、
大切なものを見失いがち。
純粋さは、グレーやブラックに
染まっていく。
誰もが一度は感じていることを
僕も改めて考えさせられました。

“共生”とは、難しいことじゃなくて、
相手を変えようとせず、
時に自分を失わず、
痛みに気づく感性を
手放さないでいること
なのかもしれません。

誰かに守られた人が、誰かを守る。
拾われた優しさが、別の場所で芽生える。
映画の海辺のシーンは、
そんな連鎖の比喩に見えました。

…しかし、この作品ですら
ゲームアプリや体験型イベントとして
“消費されていく側” に回ってしまう時点で、
僕らは結局、同じループの中に
いるのかもしれません。

問いかけられても、
また日常に飲まれていく。
気づいても、知らないふりをしてしまう。
それでも——
誰かの痛みに気づける目を
失わないでいたいと思いました。

＊ 広臣 - HIROOMI - ＊