Netflixの『ペーパーハウス』は、
僕にとって間違いなく
名作ドラマの一つになりました。
直前に観た『ザ・リクルート』の
影響もあるのかもしれませんが、
(作りがわりとざっくりしていた)
ペーパーハウスは、
とにかく一つひとつのシーンが
丁寧に作り込まれていて、
作品の世界に深く
没入させてくれました。

特に印象的なのは、
登場人物たちが抱えるそれぞれの想い、
家族への愛情、仲間への信頼、
そして自分自身との葛藤。
その積み重ねが
緊張感ある強盗計画の中で
少しずつ絡まり、
やがて「絆」として
形になっていく過程です。
単なるクライムサスペンスではなく、
人間ドラマとしての
奥行きが際立っていました。

そして、この作品を観て
改めて感じたのは、
“信じられる人を持つこと”の重さです。
表面的な繋がりばかりが増え、
人間関係がどこか
希薄になりやすい今の時代において、
誰かを信じる、誰かに信じてもらう
というごくシンプルなことが、
どれほど難しく、同時に尊いかを
強く思い知らされました。
仲間を信じることでしか
突破できない状況、
裏切りや迷いを越えて
なお残る結びつき。
その描写が、このドラマを
よりリアルで胸を打つもの
にしていたと感じます。

また、この作品独自の魅力は、
「犯行そのものの美学」にもあります。
計画は冷徹に緻密でありながら、
音楽や演出によって
反乱の象徴のように描かれていました。
そのギャップが観る者を惹きつけ、
「悪か、正義か」という問いすら忘れて、
ただ物語の渦に呑み込まれてしまう。

ペーパーハウスは、
娯楽作品としての面白さに加え、
“人は何のために生き、
誰のために戦うのか”という
普遍的なテーマを投げかけてくる。
だからこそ、単なるドラマを超えた
余韻が残るのだと思いました。

＊ 広臣 - HIROOMI - ＊